導入事例・お客さまの声

AN210で理想の皮まわり 新杵様

伝統を守りつつ変化を取り込む新杵様の歴史は、初代が自身の療養を兼ねて日本屈指の保養地だった神奈川県大磯に移り住んだことに始まる。同氏が明治24年に製菓業を開業、やがてこの地に縁のある作家・島崎藤村や政治家・吉田茂元首相が愛用した菓子店としても知られるようになった。

新 杵 様 (神奈川県中郡大磯町)

銘菓「西行饅頭」 銘菓「西行饅頭」
大磯に「西行饅頭」あり。ここに来て名物はと聞くとみなが口をそろえて言う。その端正な形と抜群の皮まわりは、食べる者を魅了する。そしてその味わいは黒糖の香る皮と自家製こしあんの織りなす実に奥深いものだ。このお菓子こそ、創業明治24年老舗菓子店「新杵」様の長きにわたる看板商品である。けっして派手さはない。しかしながら何度食べても飽きがこない。「西行饅頭」は、究極なゆえにシンプルな焼き菓子なのだ。


銘菓「西行饅頭」は、2代目ご店主が考案。ご存じ、西行法師がこの地を訪れて詠んだ「心なき身にもあはれは知られけり鴫(しぎ)立つ沢の秋の夕暮れ」の歌にちなんだもの。西行法師の笠をみたてたというその形と自家製にこだわった素材の味は、大磯名物として長く人々に愛され続けている。


自動包あん機「AN210」による「西行饅頭」の生産。製造はご店主自ら担当する。

しんと静まりかえった午前4時過ぎ、新杵様の工場に灯りがともる。「うちは、冷凍をやっていないので、この時間にスタートしないと開店までに製造が追いつかないんですよ」。早朝から、にこやかに迎えてくれたのは4代目店主の斉藤昌成様。こちらの商品は、冷凍庫を使った計画生産や脱酸素材を使った包装は一切しない。お饅頭にも鮮度という言い方があるならば、つくってからの鮮度を人為的にコントロールはしないのだ。これは、お客さまに対して、ありのままの商品を提供したいという新杵様のポリシーでもある。おみやげにするのに日持ちを気にするお客さまもいるのではと聞いてみた。


焼きあがったお饅頭に『西行』の焼印が入る。

「『西行饅頭』は、消費期限を5日で出させてもらってます。お使いものにされるお客さまにも喜んでいただいてますよ。かえって安心して持っていけると言われる方もいます」。新杵様のありのままの商品提供は、製造者のまじめなものづくりには信頼がおけるという付加価値を生んでいるようだ。「西行饅頭」は同店売上げの6割近くをしめるまさに看板商品。生産には、自動包あん機「AN210」をご活用いただいている。取材日は480個の「西行饅頭」を生産。今日の出来も上々だ!


愛用の包着盤が、美しいフォルムと抜群の皮まわりのお饅頭を生み出す。

「レオンさんの円盤式(包着盤)は、皮まわりが抜群にいいので『西行饅頭』をつくるのには最適なんです。この皮まわりでお菓子の良し悪しが決まりますから」。包あん機についてさらに聞いてみる。「うちは包あん機あっての新杵ですよ(笑)。多い時は1日に6千個出たこともあります。包あん機がなかったら人手があと2人は必要ですからね。冷凍をしていないので、日によって生産量も変わります。それで2人雇って今日は残業、明日は早上がりでいいよというわけにはいきませんしね」。


創業当初からのつくりを踏襲した新杵様の店構え。今や景観的にも大磯のシンボリックな存在。

最後に銘菓へのこだわりを聞いてみた。「長年受け継いできた伝統はもちろん守っていきます。ただ、中身(配合等)は試行錯誤しながら変えていきたいと思いますね。常に時代や嗜好の変化にあった最良のものをお客さまにお出ししたいので」。形式にとらわれない返答に、老舗4代目の心意気を感じた。


8時30分、開店と同時に待っていましたとお客さまがやってくる。

メインの「西行饅頭」130円/個(税込み)のほかにも上生菓子、朝生、干菓子などが並ぶ。お店を担当するのは、ご店主の奥様、総子様。対面でお客さまとの会話を大事にする接客スタイルは今の新杵様の人気を支える秘けつでもある。店内もまた創業当初のイメージを引き継ぐ情緒的なつくりで人気を呼んでいる。


お店には通りを越えて大磯の爽やかな海風も吹き込んできた。今日も絶好のお菓子日和になりそうだ。

 
 
つつむ No.149号 (2017年4月号)掲載
※文章内の表現・表記は、すべて取材当時のものです。  
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