導入事例・お客さまの声

EZデバイダーをご活用 サフラン様

時代を生き抜くベーカリーになるために (EZデバイダー/火星人 ご活用事例)

石窯パン工房 サフラン 様 (千葉県)

千葉県内にグループ9店舗を展開し、関東屈指の繁盛ベーカリーとして知られる「石窯パン工房サフラン」様。この度、弊社最新鋭のパン生地分割機「EZデバイダー」をご導入いただいた。代表取締役社長の小川佳興様は、その目的を「10年後、20年後も生き抜いていくため」と語る。業界を背負い、課題解決に真っ正面から向き合う小川社長に、次の時代に向けた取り組みについてうかがった。


「機械化を迷う必要はないです。
それよりも機械化で得た時間を
いかに使うか。競争力に直結します」

 
代表取締役社長 小川 佳興 様
 
1955(昭和30)年兵庫県神戸市生まれ。
大学進学時に上京。アルバイトに明け暮れ、あるベーカリーでもらったパンの味が忘れられず関西のベーカリーに勤務。4年間修業後、製菓店・レストランの東京店で店長を経験した後、1986(昭和61)年千葉県松戸市に1店舗目をオープン。現在は、北柏・松戸エリアで9店舗を経営。


お客さまのための効率化
グループ9店舗(ベーカリー7店舗、洋菓子店1店舗、カフェ1店舗)の年商約15億円、関東屈指の繁盛ベーカリーとして知られる「石窯パン工房サフラン」様。この度、常盤平店(松戸市)にパン生地分割機「EZデバイダー」をご導入いただいた。系列の洋菓子店では、すでに「火星人」が稼働中である。


2016年2月にリニューアルオープンした石窯パン工房サフラン様常盤平店(千葉県松戸市)。 
木の温もり溢れる店内には150種類以上のアイテムが並び、週末には県内外から1000組ものお客さまが訪れる。駐車場は20台収容可能。

販売スペースをL字で囲むように配置された常盤平店の厨房。木枠の窓越しに、お客さまからは技術スタッフの活発な動きが、スタッフからはお客さまの動きがわかる。右奥には「EZデバイダー」の姿も。

 
「石窯パン工房サフラン」 ベーカリー・7店舗
(うち2店舗は元店長がオーナー)
「お菓子の森サフラン」洋菓子専門店・1店舗

「SAFFRON’S CAFE(サフランズカフェ)」カフェ・1店舗

 
代表取締役社長の小川佳興様は、業界に入って30年超の職人経営者。常に現場に立ち、多店舗経営となった現在も同店の厨房で日々パンづくりに勤しむ。他方、ベーカリー向けイベントの製パン講師としてもご活躍中で、ヒット商品のレシピや独自の経営術を惜しみなく公開し、全国から幅広い支持を集めている。取材にあたり、小川社長を訪ねると中小ベーカリーの機械化は喫緊の課題であると話してくださった。
 
「機械化するかどうか悩む必要はないですね。機械化できるところを機械化した上で、いかに他に手をかけるか。こちらが本筋。生き残りにもかかってくると言えます。残念ながら、せっかく独立しても数年で立ち行かなくなる店が少なくないのが現状。自分も常に危機感を持つようにしています」
 現在も精力的に新店舗をオープンし、個人店の夢と言われる多店舗展開を実現する一方で、意外にも1店舗のオーナシェフ時代が長かったという小川社長。2店舗目を出すまでには15年の歳月があった。「中小店の気持ちはよく分かります。経営面や健康面、人手不足と課題が山積し、分割・丸めに追われてどの店も時間が欲しいでしょう。職人は朝から晩まで立ち働いていてお客さまと話す時間なんかないと思うかもしれない。かといって朝一番で焼いたパンを冷めたまま閉店まで置いて時間ができたと言ってもそれは違います。ベーカリーには実践しても良い効率とダメな効率がある。違いはシンプルで、お客さんのためになるかどうか。『EZデバイダー』は、そこにうまく入ってきたなと。『火星人』も同じく。効率と品質が両立している。1日の大半を占める分割作業が効率化されたらどれだけの時間ができるか。定着率にも影響が出るでしょう。従業員も簡単に見つからない時代、未来につながる生産体制の確立と後継者育成は業界としての課題でもあります。これは店の規模に関わらず、直ちに取り組むべきテーマです」。


職人の気持ちを分かっている機械
「EZデバイダー」の稼働は毎日2時間前後。食パンやバゲットなど49種類の生地分割にお役立ていただいている。「『EZデバイダー』は、パン業界が待っていた機械。菓子業界にとっての『火星人』と同じくらいインパクトがあります。このままユーザーの声を反映させて磨き上げればとんでもないことになるかもしれない(笑)。 
まず、配合や製法を選ばないところがいいですね。今のところ使えなかった生地はないです。品質も良い。生地回復の必要がないので、実際、塩バターロールの生産時は丸め工程なしで分割した生地をそのままモルダーに通しています。
4人必要だった生産が、現在は1~2人です。評判も良く、店の売上トップ3に入る商品です。分割のダメージがないだけでなく、短時間のうちに窯や冷凍庫に入れられるメリットもあります。生地は常に発酵しているので…。手づくりにこだわって、ベッタベタの生地に手間を取られて最初と最後のパンの品質が違ってしまっては本末転倒です」。
 

塩バターロール(1個129円)塩バターロール(1個129円)「EZデバイダー」で塩バターロールを生産する寺島明店長。「生地分割のダメージがないので、丸め工程なしでモルダーに通せるようになり効率が格段に上がりました。品質も良く、今では1日100個以上売れる人気商品です」。


さらに、機械好きを自認する社長ならではの観点も。「生地分割の仕組みがいいですね。カット工程を2つに分けたのが良かった。バットから出したままの生地を帯状にカットした後に、指定した重量にカットする。これは良いアイデアですね。世間にはプレス方式の分割機が多い中、際立っていました。チャパタやバゲットは、十等分など、長さカットモードが便利なので実際活用しています。この仕組みならパン生地を傷めないなと。職人の気持ちを分かっている機械だと思います」。




「売れるパンが良いパン」とシフトする
さて、「サフラン」様といえば、焼きたてパン。お客さまがいつ来ても焼きたてをお買い求めいただけるよう、頃合いを見ながら少量ずつ何度も焼成するオペレーションは地域のみならず業界でも知られている。魅力的な商品開発とそのマネジメントについて伺った。
 
「焼きたてを出すのは全150種類のうち30~40種類です。熟成が進むとよりおいしくなるパンもあるので、見極めて。一番大切にしているのはタイムリーさです。50個1回で焼けば楽ですが、5個ずつ10回と細かく細かく焼きます。『10時に○○パン焼きあがります』と掲示して、まとめて焼くような店はまだまだ自分本位。お客さまに焼きたてを味わっていただくチャンスを自ら減らしています」
 
お客さま本位と、チャンスロスの撤廃。これは1店舗時代からの経験に基づく大切な信条だ。1986(昭和61)年、同社は15坪・日商6万円の夫婦2人の店からスタートした。「半年は客足が遠かったです。ヒマやから店に出てお客さまと話したり、1日に何度もパンを焼いたりしているうちに動きが出てきて。せっかく店に来ていただいたのに売り切れでがっかりということにはしたくなかったので、閉店間際でもパンを焼きました。廃棄ロスは店の損失かもしれませんが、チャンスロスは店とお客さま両方にとって具合が悪い。利益追求をやめて、お客さまにいかに喜んでもらえるか考えて実行していくうちにさまざまな方に来ていただけるようになりました」。
 
人気No.1の塩パンから高吸水のチャパタまで、「EZデバイダー」を活用した商品
さらに、その時分に考えを改めたとおっしゃるのは、「良いパンが売れるのではなく、売れるパンが良いパンだということ。価格以上の価値を感じていただけたということ。商品の価値を決めるのは職人ではなくお客さまです。自己満足の技術を詰め込んだ『作品』では来店行動や購買動機にはつながりません。
 
うちは、基本的には各店長に商品開発を任せていますが、『こういうパンをつくりたい』という自分本位ではなく、『見る目のあるお客さまが得したと思えるパンを』という気持ちで取り組むよう言っています。
 
売価を安くという意味ではなく、200円で販売するなら500円の価値があるパンをと。一番わかりやすいのは原材料費率なので極力上げていきます。機械化で生産コストが下がった分を回したり、旬の材料をグループでまとまった単位で仕入れたり、まだまだ工夫の余地はあります。将来的には50%の店を目指していきます」。


競争力を支える人づくり
小川社長が業界の最重要課題として挙げるのが人材育成。機械化もそこに重きを置いている。「機械生産によってできた時間は人づくりに使います。それは商品と店のレベルアップに、競争力に直結します。人間にしかできないこと、その究極はコミュニケーション、営業です。お客さまと話ができる職人の育成に力を入れていきます。面白いことに、複数の店舗で同じ商品を出しても、商品開発者のいる店舗が一番売れます。同じ市内でも。目の前のお客さまに喜んでいただこうという思いが違う。会話をすることでわずかな嗜好の違いにも敏感になる。これをもっと突き詰めていきます」。思いを象徴するように、全店舗とも対面式の厨房を取り入れ、技術スタッフが売り場側・お客さま側を向いて作業をしている。「販売担当も同じです。お客さまを右から左に流していないで、『カレーパン揚げたてです。3ついかがですか』と店内の状況やお客さまの家族構成を把握して声かけするようにと。技術担当・販売担当ではなく全員営業であるという経営者的感覚を持つように」。
 
従業員の責任感とモチベーションの向上には、トップからの言葉だけでなくそれなりの対価が必要だと大胆な施策を始めている。
「自分が60歳を越えてからは、信頼できる店長に店舗を譲渡しています。一昨年は年商3億の店を1億で譲りました。設備ごと。現在は2店舗をそれぞれ元店長が経営しています。仕入れや宣伝はグループで行って、サービスは父ちゃん母ちゃんの店のように細やかで行き届いたものを個々の店で実践してもらっています。2人とも必死に働いていますし、ほかのスタッフも『頑張ればいつかは』と前向きです。現在パン業界で働いている若い人や、これから目指す人には夢を持ってもらわないと。『パン生地に触れるのは鉄板を3年洗ってから』というような時代錯誤な教育は終わりにした方が良いです。本当に店のことを考えるなら入社日に『EZデバイダー』の使い方でも教えて、生地分割で拘束される時間をお客さまと向き合う時間に変えたほうが良いですね。人づくりはパンづくり以上に難しいので、中長期的に時間をかけて取り組んでいきたいテーマです。トップだけが危機感を持っていては今の時代を乗り切れません」


「お中元買いにパン屋に行こう」
さて、2012年にご導入いただいた「火星人」も順調に稼働中だ。
「洋菓子店に設置しているんですが、ベーカリー向けと両方に活用しています。週3回の稼働で、和風クッキーとメロンパンのビスケット生地分割に。どちらも集中生産して成形冷凍で全店舗に配送しています。各店舗でお客さまの嗜好が違うので、全体のセントラル化は考えていませんが、こういった部分的な集中生産で別の店舗がほかのことに手をかけられるなら。手の熱がバターに影響しない分、手づくりより品質も良いです。洋菓子店を6年やって思うことは、お客さま視点になればマーケットはまだまだあるということ。たとえば季節行事。『お中元買いにパン屋に行こう』という人はいないと決め付けていないでしょうか。ベーカリーはデイリー中心でなかなかその視点がないのでは。そこは『火星人』の出番です。焼き菓子を充実させて洒落たギフト箱にセットアップすれば、最初は手土産でもイベント需要を掘り起こせるかもしれない。オーブンの空いた時間に焼けば、手間をかけずに焼きたてでも提供できます。大手さんやコンビニを脅威に感じる方も多いと思いますが、こういった焼きたてサービスにおいては敵ではないですね。個人店にしかできないこともたくさんあります。お客さまに心から喜んでいただくため、全力を尽くすしかない。機械化の意味と目的もそこにあります」。

「火星人」をベーカリー向け、洋菓子店向け両方に活用
「本来メロンパンは、パン生地と上掛けのビスケット生地の2種類を仕込まなくてはいけない手間のかかる商品ですが、『火星人』でビス生地を集中生産して効率化しています」。週1~2回1000個前後を生産。

黄金のメロンパン(1個194円)。
ビスケット生地に卵黄のみを使用した贅沢なメロンパン。どの店舗でも売上の上位に入る大人気商品。


焼き菓子人気No.1の和風クッキー「和の賑わい(和三盆・抹茶・きなこ)」(7個入り3パック化粧箱入り1,247円)と、「クッキートリュフ」(6個入り421円/バレンタイン向け季節商品) ※洋菓子店とベーカリー両方で販売。

2018年には、新店舗をオープン予定。時代を超えて生き抜く強い店を目指し突き進んでいく。

 
 
つつむ No.149号 (2017年4月号)掲載
※文章内の表現・表記は、すべて取材当時のものです。
(C) 2014 RHEON Automatic Machinery co.,ltd.