導入事例・お客さまの声

フレックスインクラスターで「おいしい」「たのしい」パンづくりを実践! パン ド サンジュ 様

パン ド サンジュ 様(大阪府堺市)

手前「ミニとびばこパン」216円(季節限定品270円) 奥「とびばこパン」1斤分 334円 ※掲載商品はすべて税込み価格 手前「ミニとびばこパン」216円(季節限定品270円) 奥「とびばこパン」1斤分 334円 ※掲載商品はすべて税込み価格

大阪のベッドタウン、堺市(人口約83万人)。ここに、パンを持ったおさるさんが楽しそうに踊る姿がトレードマークのベーカリーがある。その名もパン ド サンジュ様。フランス語で「おさるのパン」を意味するユニークな名前の同店だが、そのコンセプトは、「おいしいとたのしい、たのしいからおいしい」。商品に「おいしい」のほかに「たのしい」というキーワードを乗せて、新感覚のパンづくりを実践している。代表的な商品「とびばこパン」の名前を言えば、即座に認識できる方も多いだろう。ここ最近のメディアで多く取り上げられている「とびばこ」の形をしたユニークなパンであるが、決して奇をてらった企画物の商品ではない。その誕生秘話から「ミニとびばこパン」の新しい展開まで、パン ド サンジュ様のご店主、門田充様をお訪ねして、同店の本質を率直に聞いてみたいと思う。


パン ド サンジュ様本店


デザイナーからパン職人に
パン ド サンジュ様を語るうえで、ご店主・門田様が前職のデザイン業界からパンづくりの世界に入った背景を説明する必要があるだろう。この転身こそが今のユニークなベーカリーの原点をつくり出したと言える。まずは、この話題から聞いてみた。
「私は、小さい頃から『見て見てこんなのつくったよ』という純粋な創作が好きで、そのまま職業としても設計やグラフィックのデザイナーを選んだんです。ところが途中で、ある違和感を覚えるようになりました。それは、仕事の規模が大きくなるに従ってエンドユーザーとの距離がどんどん遠くなっていったこと。『見て見て』ではじまる気軽なコミュニケーションができなくなってきました。仕方がないことですが私は『デザイン=コミュニケーション』と考えていて、なおかつ、デザインをもっと身近なところにもっていきたいと思っていました。自分にあったフィールドがないかなと探していたところ、いつも通っていたベーカリーで近所の人たちが楽しそうにパンを選んで買っていく姿を見たんです。『見て見てこんなのつくったよ』という自分のイメージする心地よい環境が、ここならかなえられる。そう直感したんです。店長(後の師匠)に思いをぶつけたところ、未経験の三十路すぎの男を快く受け入れていただきました。師匠の懐の深さには本当に感謝しています」。ベーカリー業界に入ったいきさつをしみじみと話してくれた門田様。周りの支えもあり、こうしてデザイナー気質を持った異色のパン職人が静かに歩き出した。


パン ド サンジュ 店主 門田 充 様
「私が目指すベーカリーの最終形は、自転車で5分圏内の地元の方が買いに来てくれる、地元のパン屋さんです。パンは、小さい子供からお年寄りまで、どなたの暮らしにもあるもの。決して視界の中心ではないけど、その傍らに必ず存在しているもの。そんな、特別ではなく、日常的なものにちょっとした工夫を加えて、くすぐるぐらいの刺激を与えていきたい、地域の暮らしを元気にしたいと考えています」。門田様のパンの見方はシンプルでとても優しい。


「とびばこパン」と「ミニとびばこパン」
3年あまり、ただひたすらにパンづくりに打ち込んだ後、門田様は独立してパン ド サンジュを立ち上げる。その中で、どのように「とびばこパン」が生み出されたのか、その経緯を聞いてみた。「デザインの世界で磨いた感覚をパンに反映させることが私にとって唯一の武器だという危機感に近い考えを持っています。『とびばこパン』はそれがうまくいった商品です。きっかけは、単純に息子の体操教室で見た『とびばこ』のかたちが、パンに似てるなというところからです。『とびばこ』のシルエットに段の数字が付けてあって、段ごとに横に切ってもおもしろいかなっていう遊び心もありました」。門田様の発想力はまさに留まる所を知らない。その後に発売した「ミニとびばこパン」が大ブレイクし、立て続けのヒットとなった。「催事などに出向くと、和菓子屋さんや洋菓子屋さんが軒を連ねることが多いなかで、感じるニーズは、『お土産に使うのにちょうどいいサイズ』。『とびばこパン』で取れないニーズを実現するために考えたのが『ミニとびばこパン』です。和菓子に寄せたサイズ感で、フィリングを入れることで飽きさせないバリエーションを持たせたました。徐々に知名度も上がり、今では『とびばこパン』よりもたくさんのニーズをいただいています。1度につくる量は1000個から2000個に倍増しました。そんな時です、レオンさんの『フレックスインクラスター』を紹介されたのは。この商品は包あんするので、従業員が何十人がかりでやるにはもう限界だったんです。『フレックスインクラスター』なら担当者1名がつけば、2000個だって2時間弱でできてしまう計算でしょう(笑)」。


とびばこ工場内
「フレックスインクラスター」

店内に並ぶアイテム数は、現在80種類。最大では180種類あったがバランスを考え品種をしぼってラインアップしている。店内に並ぶアイテム数は、現在80種類。最大では180種類あったがバランスを考え品種をしぼってラインアップしている。


ヒットと葛藤の先に見えたもの
「だからと言って単純な量産だったら導入していなかったと思います。今求められている『ミニとびばこパン』の製造に使用しながら、次なる商品を開発するために役立てる、文字どおりフレックスな使い方ができることが最大の魅力でした。『フレックスインクラスター』は、私のアイデアがニーズに結びついたとき、スムーズに量産化に導いてくれる、また仕様の柔軟さゆえに、アイデアの幅を広げることができると確信して導入しました。私にとって『ドラえもんのポケット』です」。そして門田様は、今後の方向性についても話してくれた。「『とびばこパン』は、4年目くらいから急にブレイクしたんです。引き金になったメディアやSNSの影響は、想像をはるかに超えていました。経験したことがない状況に混乱しました。催事用の『とびばこパン』に追われて、いつも焼き上がる時間にフランスパンを買いにきた常連さんに、できていない言い訳をする自分がいる。お詫びをした時に理想と現実が乖離していることに気づきました。これをクリアにするため、『とびばこパン』と『店売りの商品』と、つくる工場を完全に分けたんです。自分の夢は、地元に喜ばれるベーカリーを目指すこと。その基盤をつくるには資金がいる。その資金を稼ぐ手段として『とびばこパン』でしっかり収益を上げていこう。自分自身のなかで、目的と手段が明確にすみ分けできた瞬間でした」。門田様の表情に、もう一切矛盾はない。そして、最後にこんな話で締めくくってくれた。「今は、あえて『とびばこパン』という打ち上げ花火に乗ってみようと思うんです。どこまで上にいけるのか。上らなきゃ見られない景色もあるでしょう。そこから広がる視野で、見えてくる次のビジョンもあると思うんです」。今、門田様率いるパン ド サンジュは、次のビジョンに向けて着実に歩みを進めている。

※SNS ソーシャルネットワークサービス
特にインスタグラム(写真共有サービス)では、「とびばこ パン」を独自に装飾した写真が大人気を呼んでいる。


 

「ミニとびばこパン」(こしあん)の生産工程



「フレックスインクラスター」
(1)生地の上にこしあんを吐出する



「フレックスインクラスター」
(2)自動で包あんする



(3)とびばこの形をした型に入れて焼成する


(4)焼成されたパンに数字の焼印を押して仕上げる



パン ド サンジュ様は、「ミニとびばこパン」の好調もあり、売り上げを昨年比で2倍に伸ばしている。売り上げ比率は、店売りが15%で催事・卸が85%。現在を、将来的にお店での売り上げを安定的に伸ばしていくための基盤づくりの時期と位置づけている。近々、本格的にネット通販も開始する予定で、強力な基盤をつくるための販売体制もいよいよ整うことになる。


「ミニとびばこパン」3個入り
(こしあん/カスタード/チョコレート)648円
箱代54円



「ミニとびばこパン」
(左)チョコレート
(中)カスタード
(右)こしあん
各216円


 
つつむ No.154号 (2018年7月号)掲載
※文章内の表現・表記は、すべて取材当時のものです。
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