導入事例・お客さまの声

安全・安心で子どもたちが喜ぶパンを 有限会社炊飯センター柳澤様(長野県上田市)

製パンシステム「VMライン」ご活用事例

有限会社 炊飯センター柳澤(パン事業部) 様(長野県上田市)

少子化や米飯給食の推奨、年々高まる衛生管理基準など、学校給食パンを取り巻く環境は依然として厳しい状況にある。撤退を余儀なくされる事業者が続く中、新しく学給パンづくりに名乗りを上げたのが長野県上田市の「炊飯センター柳澤」様だ。社名の通り、元は炊飯専門工場。創業から学校給食を主体にごはんを提供してきた。パン事業部スタートにあたり、2016年に敷地内にパン工場を新設。同時に弊社の製パンシステム「VMライン」をご導入いただき、地域の学給パンづくりにお役立ていただいている。
 
「素人でも安定供給できる生産ラインを」
 
パン事業部スタートのきっかけは、他社の事業撤退で近郊の学校給食からパンが消えるという話だった。
本来なら炊飯センターとしてごはんを提供するチャンスでもあったはず。
ところが、代表取締役社長の柳澤義彦様は「給食でパンが一切食べられないのでは子どもたちがかわいそう。将来のためにも主食にはバラエティーがあったほうが良い」と自社でのパン生産を決意。
葛藤(かっとう)もあったが、炊飯工場の隣にパン工場を新設する考えを固めた。
 
学校給食は子どもの時期だけでなく、その後の食生活、ひいては日本の食文化に影響を与えると言われている。当時、アパレル店勤務をしていたご子息の一輝(かずき)様に声をかけると、意を決してリテイルベーカリーでの修業を開始。親子二代でパンづくりの世界に飛びこんだ。
 
現在、同社パン事業部部長を務める一輝様は「修業先のベーカリーで、売り場の華やかさに比べて厨房業務のハードさに驚きました。アパレルも裏方は重労働でしたが、パンづくりはそれ以上ですね」。
 
特に、分割・丸めの身体的負担は大きく、機械化の必要性を痛感した。
 
「事業開始にあたり、職人がいなくてもパンを品質良く安定供給できる生産ラインを探していたところ、『VMライン』にたどり着きました」。
事前に受注していた仕事は学給パン5000食を週2回。長野県のあるユーザー様で「VМ」の実稼働を見学後、弊社へテストにお越しいただいた。
「品質はもちろんですが、ラインのコンパクトさや生産スピードも求めていた通りで。これなら、と父と意見が一致しました」。
 
とはいえ学給パンをめぐる環境はそうそう変わるとは思えなかったのでは。
 
「利益目的では始められない仕事です。しかし、他社撤退の理由は、後継難とラインの老朽化で異物混入対策が難しいケースが多いと聞いて…。給食は1年契約です。衛生的な工場と『VМ』で安全・安心を強みにしていけば、新規参入でもチャンスは訪れると確信していました」。
 
実際、事業開始から3年で、当初の3倍の1万5000食を請け負っていらっしゃる。
 
 
米粉パンや高吸水のパンも
 
「VMライン」の稼働は、週5回、朝5時から5、6時間ほど。生産品目はコッペパン、食パン、丸パンなど主に9種類で、依頼によってはメロンパンなどのスペシャルメニューも。食数に応じて4~5人のスタッフで生産から包装、配送までを行っている。
 

 
「全員素人からパンづくりを始めました。
『各学校に自分の子どもがいる気持ちでパンをつくろう』を合い言葉に、専門的な知識や技術は現場で身に付けながらやっています。
給食センターから『米粉パンを提供できますか?』など新しい依頼が入ったときはレオンさんに相談に乗ってもらっています。
米粉は取り扱いが難しく、肌荒れ対策や粉温度などを細かく教えてもらいました。
機械だけでなく、パンづくりのアドバイスもいただけるので助かっています」。
 

長野県学校給食会主催の審査会では、新規ながら最高評価に。
「焼き色、内相、形の均整などが総合的に評価され、特に内相の評価が高かったですね。『VМ』が生地ストレスを与えないからだと思います。おかげさまで、栄養士さんやお子さんからも好評です。給食は、店舗と違い進んでパンを食べない子にも一律に提供しなければなりません。みんなに喜んでもらい、いかに残飯を少なくするかが私たちの使命です」。
 
現代の小中学生は特にやわらかいパンを好むため、嗜好(しこう)に合わせた工夫でこれをカバーする。「製粉会社の推奨する吸水率が65%だとしたら、自社では70~80%までアップし、やわらかくしっとりとしたパンを目指して生産しています。『VM』は高吸水の生地も難なく流れますよ」。
 
最近では、小学校の社会科見学の受け入れも。
地域への恩返しの気持ちもあるが、同時に仕事の励みにもなるとのこと。「『機械と職人さんが協力してパンをつくっている』『生地に優しくしているのでよく膨らむ』と感想を寄せられると素直にうれしいです。こちらからも『一生懸命パンをつくるから残さないでね』と直接言えますしね(笑)」。
 
後継者として
 
最後に後継者としての気概をお伺いした。
 
「父から『大学卒業後3年は好きなことをして、その後は手に職だ』と言われていたので、いずれは家業を継ぐと思っていました。
身内ながら父ほど学校給食のことを考えている人はいないと思うので、将来は自分もそうあるべきと思います」。
 
若手ながら現場では指導側に立つことも。
「難しいことも多いのですが、幸いまわりの方に恵まれて何とかやっています。
修業先の先輩が『食パンにショックを与えないとこうなるよ』と、製パン理論を実践で教えてくださる方だったので、自分も教える側になるときは同じ姿勢でいるよう心掛けています」。
 
今後については。
「『未来を担う子どもたちのためにおいしいパンをつくる』という基本を大切にしたいです。
業界では悲観的な話やお金の話が多いので…。
自分が学生に近い年代というのもあり、食べる側の気持ちを忘れずにいたいですね。
また、長期休暇中も機械をフル稼働してスタッフに活躍してもらうためリテイルベーカリー出店の計画もあります。
まだまだ365日が勉強です」。
 
次世代を担う若きリーダーの前向きな言葉が、地域の未来を明るく照らすようだった。
 
 
 
 
つつむ No.161号 (2020年4月号)掲載
※文章内の表現・表記は、すべて取材当時のものです。
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