火星人「CN050」ご活用事例

「本物」の味で感動を与えたい

株式会社 讃岐屋 様 (東京都新宿区)

東京都新宿区高田馬場。大学や専門学校が数多く集まる日本でも屈指の学生街であり、漫画家・手塚治虫氏にもゆかりが深いなど、若者文化とサブカルチャーが融合したエネルギッシュな街として知られている。
この地に、こだわりの寒天製造で100年以上の歴史を紡いできた老舗「株式会社 讃岐屋」様がある。
同店で絶大な人気を誇るのが、大きめにカットされた寒天のコリコリとした歯ごたえと、ふかふかもちもち食感の求肥が一度に楽しめる「あんみつ」。トッピングに添えられた赤えんどう豆の程よい塩気と、甘い黒蜜とあんこのバランスが寒天のおいしさをより一層引き立てている。まさに寒天一筋でやってきた同店の代名詞とも言える逸品だ。
このたび、この人気のお店に弊社の火星人「CN050」が導入され、求肥餅をはじめとする和菓子の生産にご活用いただいていると聞き、さっそく取材へ伺った。

受け継がれた「本物」の味

活気に溢れる駅前大通りを西に15分ほど進み、神田川沿いの路地へと入ると、そこには都会の喧騒を忘れさせてくれる閑静な遊歩道が続いていた。この遊歩道に溶け込むように佇む一軒の和モダンなお店がある。こちらが今回ご紹介する讃岐屋様だ。
店先に設けられた縁側で、おいしそうに甘味を頬張る人々の姿に思わず心が和む。暖簾をくぐり中に入ると、あんみつをはじめとする色とりどりの商品が出迎えてくれた。
讃岐屋様は大正3(1914)年創業。創業者である岡照一様の出身が讃岐国(香川県)だったことから「讃岐屋」と名付けられた。
「うどん屋さんと勘違いする人も多いんですよ」と話すのは、三代目社長の福原豪様。お店の歴史とご自身の歩みについて教えてくれた。
「創業者である先々代が、こどもの頃に食べた『ところてん』の味が忘れられず、東京で多くの人に食べてもらいたいとはじめたのがきっかけだと聞いています。戦前は職人も30名ほどいて和洋菓子も手がけていたそうですが、先々代が亡くなってからは、寒天や求肥の卸中心の業態に変わりました。しかし30年ほど前、2代目である義父が体調を崩し、店が存続の危機に陥ってしまったんです。自分は当時、建築会社に勤めていたのですが、この店と伝統の味を簡単に途絶えさせてはいけない! と覚悟を決めて後を継ぎました」。
一念発起した福原様はその後、同業者の元へ修業に行き、そこで寒天づくりのノウハウや最先端の技術を学んだという。
「この修業が大きなターニングポイントになりました。今まで3日かかっていた寒天の製造作業を2時間で済むように再編できたんです。作業の効率化が図れたことで、商品構成の見直しや販路を広げる余裕も生まれました」。
「あんみつ」や「ところてん」をはじめとする讃岐屋様自慢の商品は、現在都内の大手百貨店や一部の大型商業施設でも販売されている。
「北は北海道から南は関西まで、地方の百貨店にも期間限定で出店したことがあります。仙台の百貨店で商品を購入してくださったお客さまが、あんみつの味が忘れられない、とわざわざお店に食べにきてくれた時は嬉しかったですね」。
守り抜いた「本物」の味は多くの人々に感動を与え、各地にファンを増やしている。 

欠かせない存在

 「これまでは寒天製造を主軸にやってきましたが、やはりこれからの時代は商品にある程度バリエーションが必要だと思い、商品開発にも力を入れました。バイヤーさんや資材屋さんと情報交換するとアイデアが湧いてくるんですよ。どういう風に商品を売り出すか魅せ方を工夫するのも楽しいです。今まで80種くらいつくったかな。商品展開をする上でレオンさんの火星人は欠かせない相棒ですよ」と福原様。
店舗奥にある工房を案内してくださった。
寒天製造機器が立ち並ぶなか、限られたスペースには、2022年2月にご導入いただいた弊社の小型火星人「CN050」がぴったりと収まっていた。 
 「火星人は2日に1回、1日5時間稼働して、あんみつ用の求肥餅や大福など約14種の商品を生産しています。これだけコンパクトなのにこんなに商品数がつくれるなんて本当にすごい機械ですよね。講習会で食べた生クリーム大福がおいしかったので、『三重包あん装置縦型スクリューフィーダー』も一緒に導入しました。機械生産は衛生的で確実。人手では難しい成形も品質よく一定に仕上げてくれるから助かります」と頼りになる相棒に目を向けながら続けた。
「わたしは理系の人間なので、頭できちんと理解しないと気が済まない性分なんです。だからこの火星人も、どこをどう調整したらそうなるのか構造をしっかり理解した上で使ってるんですよ。機械に慣れるまでは大変でしたけど、一度理解してしまえばあとは楽。細かい調整で思い通りにできるので、操作が楽しくなりました」。
火星人をしっかりと使いこなす福原様は、もはや弊社技術員並みの腕前だ。おかげで機械への愛着もより一層湧いたのだと笑顔を見せた。

感動を共有できたことが決め手

続いて火星人の導入に関するこんなエピソードを語ってくれた。
「以前からレオンさんの機械のことは知っていたのですが、正直うちのような規模の店で導入する機械ではないと思っていました。でも大福がブームになった時、取引先から求肥シートを生産して欲しいという依頼が入ったんです。試しにのし棒で伸ばしてつくってみたんですけど、4枚つくるのに1時間もかかってしまって。これでは商売にならないと、求肥シートをつくれる機械を探しました。他社さんで専用の機械を見つけましたが、レオンさんの火星人でも特殊なノズルを使うことでつくれると知り、じゃあ一度見ておこうかと家族総出で宇都宮本社の講習会に参加してみました。そこで機械をただ売るのではなく、手間を厭わずに商品提案までしてくれるレオンさんのおもてなしの精神に心を打たれまして。機械ももちろんすごいと思いましたけど、営業さんをはじめ働いているみなさんのホスピタリティ溢れる姿勢にとても感動しました。その気持ちを家族みんなで共有できたことが一番の決め手でしたね」。 

立ち止まらずに進む

最後に今後の展望についてお聞きした。 
 「時代のニーズに合わせて商品数をある程度増やせたので、今後も主軸は変えずに、斬新な発想で楽しく商品づくりをしていきたいと思います。そして和菓子という日本古来の伝統の味を後世に残していきたい。大手企業さんでさえ、妥協せずにいろんな策を講じているのだから、その千倍、二千倍は努力しないといけないですよね。月並みな言い方ですけど、暖簾にあぐらをかかずに、トライアンドエラーの精神で商品と真摯に向き合っていきたいと思います。立ち止まって考えていても仕方がない。前に進むことがわたしの最善策です」。
常に明るくそして前向きな福原様。
相棒である「火星人」の活躍もこれからが本番だ。