火星人「CN700」ご活用事例

火星人を起点にして忙しさの中に余裕を生み出したい

有限会社 菊寿堂 様 (埼玉県深谷市)

埼玉県深谷市。人口およそ14万人。県の北西部に位置する市で、利根川と荒川に挟まれた肥沃な土壌の恩恵を受け、「深谷ねぎ」に代表される農産物生産が盛んな地域だ。
関東の台所と称されるこの地に、オリジナルの和洋菓子を製造販売して、地域に愛される菓子店・菊寿堂様がある。
同店の創業は、文化8(1811)年。200年を超える歴史を持つ、まさに老舗である。
このたび、火星人の最新モデル「CN700」をご導入いただき、生産の効率化、新商品開発にご活用いただいていると伺った。
さっそく、社長の山下雅章様を訪ね、お話を聞かせていただいた。

老舗という重荷はない

取材のはじめに、200年続く暖簾の重みについて聞いてみる。
「最初から敷かれたレールに乗っていたわけではないんです。父は会社員だったので、家業は母親が切り盛りしていました。ある時、雇っていた職人さんが体調を崩して、お辞めになったんです。製造のほうが回らない状況になって、私も手伝うことになりました。もともと食品に関係する仕事に携わっていたので、お菓子づくり自体は、まったく苦になりませんでした。もちろん長く続けていく中では、大変なこともたくさんありましたよ。でもお客さまが、自分がつくるお菓子で喜んでくれる姿を見るたびに、やりがいを感じましたね。生涯誇れる職業だなと思います。私で9代目になるんですが、実際に家業をやっていくなかで、こうあるべきというプレッシャーは感じたことは無いんですよ」と山下社長。
時代に合わせ臨機応変に老舗を先導する同氏は、数年前、店舗の移転も実行した。
「以前の店舗は、幹線道路から奥まった立地だったので、客層は、常連さんに限られていました。それはそれで大変ありがたいんですが、少しでも新しいお客さまに来ていただきたくて、思い切って幹線道路沿いに移転したんです。お客さまの要望もあり、徐々に洋菓子のアイテムも増やしていきました。それらがうまく相俟って、新しいお客さまが随分来てくれるようになりました」。

新旧どちらのお客さまにも満足を

取材の日。
平日の午前中にもかかわらず、開店と同時に次々にお客さまが入店していく。世代も幅広く、まさに老若男女といった感じである。
この日来ていた70代のご夫婦にお話を伺うことができた。
「私たちは、以前からずっと菊寿堂さんのファンなんです。お遣い物も、自分で食べる分も全部こちらのお菓子です。最近は、孫が遊びに来ると必ずシフォンケーキを買いに来るんですよ。いろいろな種類のお菓子が置いてあるので重宝しています」。
お店に並ぶのは、およそ100アイテム。和菓子から洋菓子まで幅広い。
魅力あるお菓子のラインアップで新しいお客さまはもちろん、常連のお客さまのニーズもしっかりとカバーしている。

心に余裕を持って

お店から50メートルほど離れたところに菊寿堂様の工場がある。こちらで活躍しているのが火星人「CN700」。
店頭に並ぶ朝生から焼き菓子まで、さまざまなお菓子の製造を担う。
取材時は、みたらし団子の分割作業が行われていた。製造の担当者はこう話す。
「包あん作業では、もちろん頼りにしていますが、団子やあんこの分割も、重量がぴったり出てきて、本当に助かってます」。
素材を傷めないこと、重量精度が極めて高いことは、まさにサイクロイド式の送り機構を採用した「CN700」の真骨頂である。
山下社長に「CN700」導入のいきさつを聞いてみた。
「製造の効率化をまず考えて導入しました。それまでは手づくりでやっていましたが、お店の販売に追われると、とにかく品物を並べることを優先して、つくりやすいものに製造が偏ってしまうんですね。そのことにとても危機感を感じていたんです。『CN700』を入れてからは、繁忙期がきても安定してアイテムを揃えることができるようになりました。お客さまの満足度も相当上がったと思います。この機械は、品物だけじゃなくて、余裕も生んでくれましたよ(笑)。以前、自分の中では、人の倍働くというのがモットーだったんです。ところが最近はずいぶん変わりましたね。忙しい中でも、自分の時間をもっていないと仕事も楽しくないと感じるようになりました。心に余裕を持つこと、それが一番大事なんだとつくづく思います。これは、私だけじゃなくて、従業員の皆さんも同じで、自分の時間もちゃんと持てて、仕事も楽しくできるようにしていきたい。『CN700』をフル活用して、そういう体制をつくっていければと思います」。
山下社長の「CN700」にかける期待は大きい。

自分の目で見て、肌で感じること

最後に、将来的な展望について伺った。
「品揃え、品質の面で、意識していきたいのはコンビニエンスストアさんですね。良いところは見習いつつ、そのうえで鮮度、品質は上回っていきたいと思っています。それが私たち菓子店が生き残っていくための生命線ですから」。
山下社長の言葉からは、さまざまな困難も乗り越え、200年続いてきた同店のDNAを強く感じた。
「私は、興味があるものや気になるものがあると、すぐに行ってみたくなる性格なんですよ。やはり、自分の目で見ることと雰囲気や余韻を肌で感じることで、きちんと自身に落とし込みたいというのがあるんです。こうした体験もどんどん商品に生かしていきたいですね。『CN700』があるので製造までを具体的にイメージできます」と山下社長。
定番商品のさらなる品質アップと新商品開発にもますます拍車がかかる。
菊寿堂様の今後の展開に、さらに注目していきたい。