カステラの老舗が届ける新商品
3時のおやつでみんなを笑顔に!

株式会社 文明堂東京 / さいたま あおぞら工房 様 (埼玉県さいたま市)

カステラの老舗として名高い文明堂様。創業の地・長崎からカステラの魅力を広めるため東京に進出して今年で100周年を迎えた。
この文明堂東京様に新時代の名物菓子が誕生した。キューブ状の見た目とかわいらしい焼印が目を引く、その名も「3時のおやつあんぱん」。
しっとりもっちり食感の甘めの生地に、みずみずしい粒あんがたっぷり。
一般的なあんぱんとは一線を画す、味も食感も老舗のお菓子屋さんのノウハウが詰まった商品だ。
数々のメディアで紹介され、入手困難になっているこの人気商品の生産に、弊社の火星人をご活用いただいていると聞き、早速取材にうかがった。

魅力いっぱいのお店

埼玉県の南東部に位置するさいたま市。その郊外、埼京線・与野本町駅から西に3キロほどの沿道に、ひときわ目を引くお洒落な建物がある。
正面入り口の暖簾には「文明堂」の文字。連日多くのお客さまで賑わう「文明堂 さいたまあおぞら工房」様だ。
浦和工場に隣接していた売店をリニューアルしたこちらの店舗は、2019年のオープン以降、文明堂様の新たなコンセプトを担う店舗として順調に集客を伸ばし、今やグループ全体を牽引する人気店に成長した。
明るく広々とした店内に足を踏み入れると、焼き立ての甘い香りと温かい声が出迎えてくれた。
「ようこそ、いらっしゃいませ」と販売をご担当の小島様と日下様。お店のこだわりについてお二人にご紹介いただいた。

「こちらの店舗は、お客さまに何度でも足を運んでいただけるような『憩いの場』をコンセプトにつくられました。気軽にお立ち寄りいただき、弊社のお菓子を召し上がりながらホッとひと休みしていただく。2階にラウンジを設け、フリードリンクのサービスも行っています」と小島様。
同店では、2階のラウンジの一部を他の企業に貸し出し、コンサートや地域密着型のイベントを定期的に開催。お買い物を楽しむ場だけでなく、地域とお客さまをつなぐ架け橋にもなっている。

 

「工房併設型の特徴を生かして、出来たて商品も販売しております。そしてどういう作業環境や過程で商品がつくられるのか、工房が売り場から見えるようになっているんです」。
魅力いっぱいのお店店内の大きなガラス窓に目を向けると、その向こうでは数人のスタッフが軽やかな手つきでお菓子を製造していた。
「ライブ感を演出できますし、清潔な環境をご覧いただくことで、商品が安心安全であることをアピールできます。お客さまと接する機会が少ない工房スタッフからも、お客さまの反応がよくわかると好評なんですよ」。

「さいたまあおぞら工房」様には、多い日は1200人ものお客さまが訪れる。お子さま連れの方から、ご年配の方まで客層は幅広い。
「地元のお客さまが多いですが、『3時のおやつあんぱん』が有名になったことで、遠方からわざわざお越しくださるお客さまも増えました。
今はバスツアーの立ち寄りスポットにもなっています。
この店舗には文明堂東京のすべての商品が取り揃えられておりますので、数ある店舗の中でも品揃えは一番です。
工房限定商品も20種ほどありますよ」と日下様。

店内には、こどものおやつから贈答品まで約100種もの商品が並んでいる。
「中でも一番の人気商品が『3時のおやつあんぱん』です。フレーバー違いも含めると、多い月は13000個ほど販売されます」。

大ヒット商品の誕生

その人気商品は、ここ「さいたまあおぞら工房」様で誕生した。
「オープン当初、手軽に食べられる軽食が欲しいというお客さまの声から、文明堂の焼きの技術を生かせる製品としてパンの販売を始めたんです。あんぱんはその中の一つでした」と話すのは、本社マーケティング部の今西様。商品開発に関する詳しい経緯を語ってくださった。

「コロナ禍で外出が難しくなってしまった時期、より多くのお客さまにご自宅で出来たてのお菓子を楽しんでもらいたい、という想いから新商品を開発することにしたんです。いろいろと試作を繰り返した中で、あんぱんをお菓子屋さんならではの新しい味に仕上げてみようということになりました。弊社が誇る知識や技術を集結させましたので、味には自信があります。あとはどうやって特徴を出していくか。一般的には丸いあんぱんの形をキューブ状にしたり、アクセントに焼印をつけたり、文明堂らしさが伝わるようスタッフが一丸となってアイデアを出し合い完成させました」。

こうして2020年6月に販売を開始した「3時のおやつあんぱん」は、瞬く間に人気となり同店の看板商品の一つとなった。
「ありがたいことにテレビ番組で取り上げられたことで、さらに人気に火がつきました。オンライン販売や他店舗での取り扱いもはじまり、ほどなくして工房での生産キャパが限界を超えてしまったんです」。
これまで日に数千個対応していた生産が、一気に1万個まで膨れ上がり、販売に製造が追いつけなくなってしまった。

生産を支える強い味方

では同店はそのピンチをどう乗り越えたのだろうか。工房で生産をご担当されている荒川様にお話をうかがった。
「別の商品を生産するために導入していた火星人に試しにかけてみたんです。この包あん機ならできるんじゃないかと。
もちろん調整は必要でしたけど、結果うまく成形できました。
以降『3時のおやつあんぱん』の生産をメインに火星人を使っています。フィリング違いも含めて週に3~4回、1日6時間の稼働で約6300個生産しています。
以前は、全スタッフ総出でしたけど、いまは製品取りに1名、生地の補充に1名の計2名で済むようになりました」。

「さいたまあおぞら工房」様では、「3時のおやつあんぱん」3種と、「あおぞらちーずまる」の生産に弊社の火星人「CN050」をご活用いただいている。

「おやつあんぱんに使用している餡は、看板商品の一つであるどら焼き『三笠山』と同じものなんですが、この餡は水分量が多くて扱いがとても難しいんですよ。
でもこの火星人なら、そんなやわらかい素材も難なく包めますし、生地も捏ねられる心配がないから形状がきれいに仕上がります。
一時期、期間限定でカレーフィリングの商品を出したことがあるのですが、匂いやアレルギーの問題で火星人が使えず、全部手成形で対応したんです。
その時は尋常じゃないくらい時間がかかりました。
熟練の社員でも1時間で40個が限界なのに、それを3000個もつくらなければならなくて…。
火星人さえ使えれば3000個なんてあっという間なのに! 半日で終わるのに!! って何度も思いましたね」
と苦笑しながら当時を振り返ってくれた。

火星人は品質と効率の両面で同店の強い味方となっているようだ。
そして強い味方がもう一つ。
火星人の部品などを自動洗浄する「RN洗浄機」だ。
「ほぼ毎日使用していますよ。火星人を使わない日も、まな板やミキサーボウルなどの洗浄にっています。
マドレーヌ生地のような結構な量の油を含んだ生地も3分洗えばキレイに落ちますから、とても重宝しています」

より身近な存在に

文明堂東京様の歴史は100年前にさかのぼる。
明治33(1900)年、中川安五郎氏がカステラ発祥の地である長崎市内に文明堂を創業。その後、大正11(1922)年に実弟の宮﨑甚左衛門氏がカステラの魅力を世に広めるため、東京に進出したのが同社の前身だ。現在は、宮﨑進司社長が先進の経営で先導している。

最後に今後の展望について、今西様にうかがった。
「この『さいたまあおぞら工房』を通して、お客さまと文明堂の距離がより近くなったように感じます。これからもお客さまに楽しんでいただけるようなイベントを企画し、親しまれる商品を増やすことで、文明堂をさらに身近に感じていただきたいですね」。
老舗ブランドとしての格式高いイメージを親しみやすいという印象に塗り替えた「さいたまあおぞら工房」様。
人々の笑顔に寄り添って新たな進化を遂げていく。